製造現場では、「最新の図面は届いているのに、製造を始めようとするとNCデータが見つからない」「製造指示書に記載された図面がどこにあるかわからず、サーバー内を何分も探し回った」といった悩みが見受けられます。図面管理システムを導入していても、現場には図面以外にもNCデータやCAD/CAMデータ、製造指示書など、さまざまな情報が溢れています。
これらがバラバラに保管されていると、準備時間(段取り)ばかりが膨らみ、肝心の「製造する時間」が削られてしまうでしょう。こちらでは、製造現場ですぐに作業を始められない理由やフォルダ分けのリスク、現場の「見つからない」を解消する方法を解説します。現場の準備時間を短縮し、製造効率を上げたい方は参考にしてください。
目次
図面が手元に届いてから製造に着手するまでには、多くのハードルが潜んでいます。ここでは、現場の準備作業が停滞する3つの理由を紹介します。
図面は承認システムにあり、加工用のNCデータは現場の共有サーバー、さらに指示書は紙のファイルで保管されているといった光景は珍しくありません。このように関連情報が分散していると、作業者は製造を開始する前に「情報のパズル」を合わせる作業から強いられます。
一つひとつのデータを探し出す時間は短くても、積み重なれば大きな工数ロスとなり、本来の製造時間を圧迫する要因になりかねません。
図面が最新であっても、製造に使用するデータがどのような理由で変更されたのかわからない場合、作業者はすぐに製造着手できません。たとえばデータに、「○月○日 ××案件の仕様変更に伴い条件を調整」といった補足が残されていれば、あとから担当する作業者でも「この案件ではこの変更で問題ない」と理解しやすくなります。一方、変更理由が共有されていないと、「なぜこの変更が加えられているのか」を確認するために担当者へ問い合わせなければならず、製造着手までに時間がかかってしまうでしょう。
現場では、こうした補足情報を紙のメモや付箋で残しているケースもあります。しかし、データとは別の場所に記録されていると、あとから担当する作業者に情報が伝わらない場面も少なくありません。
「最新版」と書かれたフォルダが複数存在したり、担当者ごとに独自のファイル名で保存されていたりすると、第三者が正しいデータを見極めるのは困難です。管理ルールが曖昧な環境では、誤って古いデータを呼び出して製造ミスを招くリスクも考えられるでしょう。
こうしたデータ迷子の状態を解消し、誰でも瞬時に「正」の情報へたどり着ける環境を整えることが、準備時間を削るために大切です。
共有サーバーやPC内でのフォルダ管理は手軽な反面、データの整合性を保つ機能が備わっていないのが一般的です。ここでは、手動管理を続けることで生じる、3つのリスクを解説します。
手動によるフォルダ管理では、複数の作業者が同時にファイルをコピーしたり編集したりすることを物理的に制限するのが難しいものです。その結果、誰かが古いデータを元に修正を加えて上書きしてしまい、最新の変更内容が消えてしまう「先祖返り」が起こるおそれがあります。
ファイル名に日付を付けても、どれが本当の最終版かをシステムが保証してくれないため、情報が正しいのかわからないまま作業を進めてしまうこともあるでしょう。
フォルダ名やファイル名という限られた情報だけでデータを管理しようとすると、あとから必要な情報を引き出すのが困難になります。現場で起こりやすい例は以下のとおりです。
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問題 |
具体例 |
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属性情報の欠如 |
「材質」や「機械名」で絞り込めず、多くのフォルダを開く羽目になる |
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検索の揺らぎ |
「SUS」と「ステンレス」が混在し、検索漏れが生じる |
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関連図面の断絶 |
NCデータと図面が別フォルダにあり、セットで引き出せない |
このように検索性が低いと、「過去の資産を再利用できない」という、目に見えない損失を生み出すでしょう。
誰でも自由にフォルダを操作できる環境では、悪意がなくとも重要なマスターデータが消去されたり書き換えられたりする危険があります。Windowsのエクスプローラ等では、詳細なアクセス制限や編集履歴の確認が難しく、いつ誰が何を変えたのかを追跡しにくいものです。
万が一のトラブル時に原因究明が遅れるだけでなく、貴重な知的資産であるデータが失われるリスクは、企業にとって大きな痛手となるはずです。
データの散乱や属人化を防ぎ、スムーズに製造着手するには仕組みづくりが欠かせません。ここでは、現場の「データ迷子」を解消するための2つの方法を紹介します。
設計部門で承認された「正」の図面を、現場でも最新版として参照できる環境を整えることは品質管理の基本です。図面管理システムは、図面の作図から承認を経て完成版(出図)となるまでのプロセスを厳密に管理するシステムで、製造工程における「原本の保証」という極めて重要な役割を担います。
ただし、図面管理の主眼はあくまで改訂履歴や承認フローの正しさに置かれているのが一般的です。製造指示にかかわる図面やデータを、作業者がすぐに着手できる形で使いこなすには、原本管理とは別の視点による仕組みづくりが効果的な場合もあります。
図面の原本を起点としつつ、現場で使う製造指示書やCAD/CAMデータ、NCデータを一画面で紐付けて管理できる体制を構築するのが理想的です。この仕組みにより得られるメリットは以下のとおりです。
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メリット |
詳細 |
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管理ルールの標準化 |
人による保存方法のバラつきを防ぎ、共有しやすい状況をつくる |
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製造品ごとのデータ一括集約 |
図面、NCデータ、指示書が製品ごとにまとまり、探し回るムダが減る |
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現場メモによるコミュニケーション |
データに注記や変更理由を残せるため、次に使う作業者に注意点を共有できる |
このように、一箇所を見れば「製造に必要なすべての情報」が揃う状態を作ることで、探し回るムダをなくし、誰でも迷わず作業に着手しやすい環境が整います。
GEMBACOは、現場の「お道具箱」として製造に必要な情報・データをまとめて管理できるシステムです。NAZCA5シリーズをお使いの場合は、CADデータのサムネイル自動作成や、NC工作機械へのデータ送受信もGEMBACO上から直接行えます。これにより、作業データの保管からNCデータの転送まで一貫して管理可能です。製造に必要な情報・データを整理し、準備時間を短縮したいとお考えなら、製造情報共有システム「NAZCA5 GEMBACO」の詳細をご覧ください。
図面やNCデータといった製造に必要な情報を一括管理することで、現場の「データ迷子」が解消され、準備時間の短縮につながります。属性値へのメモ記録やルール標準化によって、作業に着手しやすい環境が整うでしょう。
「NAZCA5 GEMBACO」は、製造にかかわる必要なデータを紐付け、現場の「お道具箱」として日々の業務をサポートします。シンプルなインターフェースのため、PC操作に不慣れな方でも使いやすいのが特長です。貴重な製造時間を「探しもの」に費やすのを減らし、より効率的な製造現場を目指しませんか。製造現場の情報共有・管理にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
A.図面・NCデータ・製造指示書が別々の場所に保管されていることや、データの変更理由が共有されていないこと、担当者ごとに保存ルールが異なる属人化がおもな原因です。これらが重なり、製造着手前の準備作業に多くの時間が費やされてしまいます。
A.古いデータが上書きされる「先祖返り」の発生や、ファイル名・フォルダ名が統一されないことによる検索性の低下、誤った上書き・削除の防止が難しいといったリスクがあげられます。手動管理ではデータの整合性を保つことに限界があります。
A.図面管理システムで承認済みの原本を正確に管理しつつ、NCデータや製造指示書など関連情報を一画面で紐付けて管理できる仕組みの導入が有効です。必要な情報を一箇所に集約することで、探し回るムダをなくし、誰でもスムーズに作業へ着手できます。