※本記事は2024年2月16日に公開した記事を、2026年7月16日に更新したものです。
紙の図面を保管した状態で運用していると、必要な1枚を探すのに時間がかかったり、汚れや破損が気になったりする場面が出てきます。そのため、設計・製造の現場でもDXへの対応が求められ、図面のペーパーレス化に注目が集まっています。ただ、必要だとわかっていても、何から着手すればよいか判断しにくいとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
こちらでは、図面のペーパーレス化が必要な理由から得られるメリット、現場での実践方法までをまとめました。工場や設計事務所の取り組み例も交えているため、自社の進め方を考える手がかりになるはずです。図面の運用を見直したい方は、参考情報としてご活用ください。
目次
図面のペーパーレス化は、紙をなくすこと自体が目的ではありません。紙のまま運用を続けると業務にどう響くのか、3つの理由から掘り下げます。
紙の図面は、部署ごとのキャビネットや現場の作業場など、複数の場所に分かれて保管されがちです。どこに何があるかが担当者の記憶に頼る状態になると、目的の1枚にたどり着くまで棚を順に当たることになります。とくに設計変更が重なった図面は、旧版のまま作業を進めれば手戻りにつながるため、手元の1枚が最新かどうかの確認も欠かせません。
探す時間は製品の価値に直接結びつくものではないため、積み重なるほど本来の設計や製造に充てられる時間が削られていきます。
製作工程で図面を持ち歩けば、油や粉じんが付着し、折れや破れも起こります。保管場所に戻したあとも、湿度や日光の影響で紙が変色したり、インクが薄れたりする場合があります。図面は製品の設計内容を示す記録であり、製造後も長く残しておく必要のあるものです。
ところが紙のままでは、年数が経つほど判読しにくくなり、必要なときに内容を確かめられない事態も起こり得ます。原本が1部しかなければ、紛失や破損があった際に内容をたどる手立ては限られます。
ペーパーレス化とは、紙媒体で扱ってきた情報を電子データとして保存し、活用する取り組みです。国が推進するDXの流れを受けて、設計・製造の分野でも紙を前提とした業務の見直しが進んでいます。電子データであれば、フォルダや属性の機能を使って分類や整理、検索を行えます。アクセス制限を設ければ、図面を扱える担当者を限定でき、機密保持にも対応しやすいでしょう。
ただし、ペーパーレス化は図面だけで完結する取り組みではありません。社内には契約書や作業指示書など紙で回っている書類がほかにもあり、どこから着手するかによって進め方は変わってきます。社内全体のペーパーレス化を段階的に進めたい方は、手順や注意点を整理した記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ペーパーレス化の進め方とは?進める際の注意点や実現するために必要なツール・システムを紹介
ペーパーレス化に踏み切ると、紙の運用で生じていた困りごとの多くは解消に向かいます。得られるメリットをそれぞれ見ていきましょう。
電子化した図面には、図番や品名、客先名、作成日といった属性情報を付けて登録できます。検索欄にキーワードを入力すれば、条件に合う図面だけが一覧に並びます。複数の条件を組み合わせると、似た図面が多い現場でも候補を狭められるでしょう。
見つけた図面は画面上で開けるため、原本を持ち出したり複写したりする手間もかかりません。紙の棚を順に当たっていた作業が画面上の操作に置き換わり、業務の効率化につながります。
紙の図面はサイズが大きく、A1やA0の原図ともなると専用のキャビネットや書庫が必要です。電子データに置き換われば、その床面積を作業スペースなど別の用途に回せます。保管量が増えるたびに棚を買い足す、外部倉庫を借りるといった対応も減らせるでしょう。用紙やトナー、印刷にかかる費用、ファイリングに充てていた人手も見直しの対象になります。紙の管理にかかっていた費用を洗い出し、どこまで減らせるかを試算してみるとよいでしょう。
NAZCA5 EDMは、大手製造業のIT部門から生まれた図面管理システムです。現場の業務に沿った機能を揃えつつ、扱いやすい操作性を意識しています。導入費用が気になる方は、プランごとの料金をご確認ください。
紙の図面は、設計変更のたびに刷り直し、旧版を回収して差し替える作業が発生します。回収漏れが1枚でもあれば、現場に旧版が残り、それを見たまま加工が進むおそれがあります。
電子データであれば、登録した最新版がそのまま全員の参照先になり、差し替えの手間もかかりません。版数や更新日を画面上で確かめられるため、どれが最新かの問い合わせも減らせるでしょう。誤った図面による手戻りや作り直しを防ぎやすくなり、品質の維持にもつながります。
必要性とメリットを踏まえたうえで、実際に何から手を付けるかが次の問題になります。図面のペーパーレス化を形にするための実践方法は以下のとおりです。
図面が保管場所ごとに分かれている状態では、電子化しても探す手間は残ったままです。まずは図面管理システムを導入し、全社の図面を1つの置き場所にまとめるところから始めます。登録の窓口を一本化すれば、同じ図面が複数の場所に散らばる事態を避けられるでしょう。設計変更が入った際は、旧版を残したまま新しい版を追加する形で履歴が積み上がります。誰がいつ何を変えたかをたどれるため、変更の経緯を確かめたいときの手がかりにもなります。
NAZCA5 EDMは、図面の登録から検索、版管理までを1つの画面で扱える図面管理システムです。紙図面を大量に抱えた状態から一元化を進めた例として、5万点をデジタル化し、4部門で共有する体制を整えた企業があります。実際の進め方と効果を確かめたい方は、その導入事例をご覧ください。
図面をデータ化しても現場で印刷して配っていては、旧版が混在したり保管の手間がかかったりと、課題が残ります。出力を前提としない運用に切り替え、図面はディスプレイやタブレットで参照する形を目指すのが効果的な進め方の1つです。書き込みが必要な場合は、画面上にコメントや注記を残す機能を使う方法もあります。紙をすべてなくすには時間がかかるため、まずは1つの工程や部署から試すのもよいでしょう。2つの現場に分けて、具体的な取り組み例をあげました。
| 現場 | 取り組み | 期待できること |
|---|---|---|
| 工場現場 | ・製造ライン上にデジタルディスプレイを設置し、作業者が必要な図面を表示する ・ズームや書き込みの機能を備え、図面はクラウド上で管理する |
・図面を持ち歩く必要がなくなり、手元を広く使える ・複数の作業者が同じ図面を同時に参照でき、進捗や問題点をその場で共有しやすくなる |
| 設計事務所 | ・設計者がタブレット上で図面を編集・共有する ・手書きの注記、3D表示にも対応し、設計データはクラウド上で管理する |
現場と事務所のやり取りがスムーズになり、設計変更にも早く対応しやすくなる |
ただし、端末を配れば現場ですぐ使われるとは限りません。手袋をしたままでは操作しにくい、図面以外の情報は別の場所にあるなど、現場ならではの事情が壁になる場合もあります。現場に定着させる方法を知りたい方は、使いにくさの原因と情報共有の工夫を整理した記事もあわせてご覧ください。
関連記事:図面管理システムが製造現場で使いにくい理由とは?情報共有の工夫も解説
電子データは、機器の故障や誤操作によって失われる場合があります。定期的なバックアップに加え、保存先を本体とは別の場所にも分けておくと、復旧の手立てが残るでしょう。
あわせて、図面を扱える担当者の範囲をアクセス権限で切り分けます。持ち出しの記録が残る仕組みや、通信の暗号化に対応しているかも、システムを選ぶ際に確認しておきたい点です。運用を始めたあとも、権限の設定が実態に合っているかを定期的に見直しましょう。
図面のペーパーレス化は、探す時間や保管の負担、旧版の混在といった課題にまとめて手を打つのが目的です。図面の絞り込みが容易になり、保管スペースや関連コストの見直し、最新版の共有にもつながります。図面管理システムでデータを一元化し、端末での参照やバックアップ、アクセス制限の整備へと進めていきます。
NAZCA5 EDMは、大手製造業のIT部門が開発した図面管理システムです。図面の登録や検索、版管理など現場の業務に沿った機能を揃えつつ、扱いやすい操作性を目指しています。図面のペーパーレス化を検討している方は、機能や導入の流れをまとめた資料をぜひご一読ください。
A.紙の図面は複数の場所に分かれて保管されやすく、目的の1枚を探すのに時間がかかります。汚れや破損などにより、長期保存にも向いていません。
A.属性やキーワードで目的の図面に絞り込めるほか、保管スペースや関連コストの見直しにもつながります。登録した最新版を全員が参照できるため、旧版の使用ミスも防ぎやすくなります。
A.図面管理システムを導入し、全社の図面を1つの置き場所にまとめるところから着手します。そのうえで紙の出力をやめて端末で参照する運用に切り替え、バックアップとアクセス制限まで整えていきます。