ペーパーレス化の進め方|注意点と必要なシステム、成功例を紹介

公開日:2023年10月17日 | 更新日:2025年8月7日
ペーパーレス化とは、紙媒体を電子化(データ化)して保存し、活用することです。近年、バックオフィス業務においても、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、ペーパーレス化に注目が集まっています。
本記事では、ペーパーレス化を進めるポイントや注意点、成功例を紹介します。紙の書類の管理にお困りの方は参考にしてください。
目次
1.ペーパーレス化が進まない理由
近年、デジタル化が進む中で紙の使用を減らし、業務効率化を目指す企業が増えています。しかし、以下4つの理由により、ペーパーレス化が進まない場合があります。
- 社内フローやルールの整備が必要
- ペーパーレス化のメリットが浸透していないため意欲が低い
- ペーパーレス化に対応できるITリテラシーが乏しい
- 導入コストがかかる
それぞれ見ていきましょう。
①社内フローやルールの整備が必要
ペーパーレス化を進めるためには、社内フローやルールの整備が必要です。また、紙の代わりに電子データを業務で活用するには、データ作成や管理方法の確立が欠かせません。
しかし、担当者により図面の名称の付け方や管理方法がバラバラで整理できず、ルール決めの時点で断念する企業も多いです。
②ペーパーレス化のメリットが浸透していないため意欲が低い
ペーパーレス化にはさまざまなメリットがあります。たとえば、データを一括管理でき、検索や閲覧が容易になることがあげられます。
しかし、これらのメリットが従業員に理解されず、ペーパーレス化の取り組みの優先度が後回しになる傾向にあります。
③ペーパーレス化に対応できるITリテラシーが乏しい
ペーパーレス化にはシステムやツールを活用するため、ITの技術や知識が不可欠です。しかし、製造業では、ITリテラシーに長けている従業員がいないことも少なくありません。
率先してITを活用し、ペーパーレス化に向けたデータ整備を検討する従業員がいないため、計画の初期段階でつまずいてしまうケースが多いでしょう。
④導入コストがかかる
新たなアプリやシステムの導入には費用がかかるため、予算の制約などによりペーパーレス化が進まないこともあります。
また、システムを導入済みでも既存システムがペーパーレス化に対応できない場合、新たなシステムへの切り替えを要します。
いずれの場合も社内理解を得るために、従業員の教育コストも必要です。
2.ペーパーレス化の進め方とポイント
紙の文書管理は手間やコストがかかりますが、デジタル化することで効率化やコスト削減が期待できます。
ここでは、ペーパーレス化5つの手順を説明します。
- 目的を明確にする
- ペーパーレス化したい業務とデータ化する書類を決める
- ツールやサービスを検討する
- 運用ルールを決める
- 実行する
それぞれ見ていきましょう。
①目的を明確にする
目的を設定することにより、企業の課題を解決するための方針を決められます。たとえば、目的には以下があげられます。
- 文書管理の効率化
- データ保管の容易化
- 情報共有の促進
また、これらを全社員に共有することで、プロジェクトへの理解と協力を得やすくなり、スムーズな導入が実現します。
②ペーパーレス化したい業務とデータ化する書類を決める
頻繁に取り扱う契約書や請求書、社内の承認フローに関する書類など、業務効率に直接影響する文書を選びましょう。
紙の書類の現状を把握し、デジタル化によるメリットを最大限に引き出せるように計画を立てることが重要です。
③ツールやサービスを検討する
クラウドストレージ、文書管理システム、OCR(光学文字認識)ソフトウェアなど選択肢はさまざまです。これらのツールを導入することで、データ作成や管理が効率的に行えます。
自社のニーズに合わせて、導入するツールを慎重に選びましょう。必要に応じて試用期間を設け、実際に使い勝手を確認することをおすすめします。
④運用ルールを決める
ファイルの保存場所や命名規則、アクセス権限の設定などデータの利便性とセキュリティを両立させるルールを作成します。これらのルールは全社的に統一することが重要です。
従業員に対する教育やトレーニングを通じて徹底することがスムーズに進めるためのポイントです。
⑤実行する
選定した書類をデジタル化し、決定したツールやサービスを活用して管理を始めます。この段階では、定期的なバックアップの実施やデータの整合性の確認など、運用開始後のフォローアップも重要です。
また、従業員のフィードバックを受けて運用ルールの改善を繰り返すことで、ペーパーレス化の効果を最大限得られます。継続的に利用することも心がけましょう。
関連記事:「図面のペーパーレス化による業務効率化のポイント」
3.ペーパーレス化を実現するために必要なツール・システム
ペーパーレス化の実現には、さまざまなツールやシステムの導入が必要です。ここでは、考慮すべき2つのポイントを解説します。
- データの作成と管理
- 社内の既存システムとの連携
それぞれ見ていきましょう。
①データの作成と管理
まずは、紙の代わりとなるデジタルデータを作成するためのツールが必要です。デジタルデータの作成には、書類を作成するためのアプリケーション、ソフトウェアや「OCR」の活用が便利です。これらのツールを活用することで、手書きで作成していた紙の書類をデジタル化できます。
また、データの管理も重要なポイントです。紙の書類をスキャンしてPDF化し、各書類にさまざまな属性を付与できる文書管理システムの利用も有効です。このようなシステムを導入することで、膨大な量のデータを効率よく管理できます。
しかし、過去の紙の書類もデジタル化する対象となるため注意が必要です。社内のリソース不足などにより、これらのツールを使ってもデジタル化しきれない場合は、アウトソーシングなどのサービスに頼るのもよいでしょう。
②社内の既存システムとの連携
ペーパーレス化を進めるためには、既存の業務システムとの連携も考慮しなければなりません。既存の業務システムと新規システムの連携により、コストを削減できることがあるためです。たとえば、ワークフロー(承認フロー)システムとの連携により、紙で行っていた手作業のプロセスを自動化できます。
ペーパーレス化に関わる業務が既存システムのどのフローと連携できるか整理しましょう。
4.ペーパーレス化を進める際の注意点
ペーパーレス化を進めるにあたり、手順以外にも把握しておくべき事項があります。ここでは、以下2つの注意点を紹介します。
- 取引先に電子化対応について確認する
- 電子化する書類と紙の書類を選別する(全てがペーパーレス化できるわけでない)
それぞれ参考にしてください。
①取引先に電子化対応について確認する
取引先との連携をスムーズに行うためには、取引先が電子化に対応しているかどうかを事前に確認することが必要です。双方の電子化により業務がより効率化され、管理が簡略化されます。
たとえば、電子契約の場合、契約書の作成から締結までのプロセスがオンラインで完結するため、紙の書類を郵送したり、物理的に保管したりする必要がありません。これにより、契約締結までの時間が短縮されるだけでなく、紛失のリスクも減少します。
また、電子化されたデータは検索や参照しやすく、過去の契約内容を即座に確認できるため、情報管理の効率も上がります。
②電子化する書類と紙の書類を選別する(全てがペーパーレス化できるわけでない)
全ての書類をペーパーレス化することは現実的ではありません。ペーパーレス化する書類と、紙のまま保管する必要のある書類を選別することが重要です。
たとえば、契約書や請求書など頻繁に検索・参照する書類は、データとして活用するメリットが大きいため、優先的に電子化することをおすすめします。
一方、法的に紙での保管が求められる書類や、電子化が難しい特殊な形式の書類は、紙のまま保管することも検討しましょう。
5.ペーパーレス化を実現した成功例
ペーパーレス化を効率よく進めるには、さまざまなポイントがあります。ここでは、具体的な成功例を紹介します。
自社の状況と照らし合わせて、読み進めてください。
①個人ルールを撤廃して図面のペーパーレス化を実現|H社様
同社は、社内の運用フローやルールの整備に課題があり、図面が見つからなかったり誤配されたりすることが課題でした。図面管理の俗人化と紙ベースの管理から脱却し、効率的な業務運用を目指すことに。結果として、標準機と一品物の管理方法の統一を図り、図面の検索・登録の効率化に成功しました。
◆実施した内容◆
- 標準機と一品物の属性グループを分けて整理し、編集権限を明確化
- 図面管理システム(NAZCA5 EDM)の導入により、属性設定と検索機能の強化
- ワークフローのデジタル化を進め、電子押印の導入で承認プロセスを効率化
◆得られた効果◆
- 図面検索時間が大幅に短縮され、最新図面の管理が容易に
- 管理方法の統一により、業務の効率化と手間削減を実現
- システム導入後、年間コストが約80万円(約20%)削減
6.まとめ:ペーパーレス化はシステム導入を検討しましょう
ペーパーレス化は、業務効率の向上やコスト削減を実現するための重要な施策です。紙ベースの管理からデジタル化への移行は、情報の検索・共有を容易にし、ミスの防止にもつながります。
ペーパーレス化を成功させるためには、適切なシステムの導入が不可欠です。とくに、図面や文書の管理には、専用の管理システムが役立ちます。
導入にあたり、社内フローの見直しや従業員のITリテラシー向上も重要です。企業の競争力を高めるために、積極的に検討しましょう。
7.製造業の図面のペーパーレス化にはNAZCA5 EDMがおすすめ
図面管理システムを導入すれば、数々の図面や資料をシステム上で一元管理できます。図面の更新や情報の共有も簡単なため、業務を進めるうえで必要なプロセスの短縮が可能です。
システムに搭載されている機能は製品によって異なるので、自社の課題やニーズなどに照らし合わせて、もっとも適切なシステムを選びましょう。
新明和ソフトテクノロジ株式会社が提供する「NAZCA5 EDM(ナスカ・ファイブ・イーディエム)」は、製造現場の声を反映して開発された使い勝手のよい図面管理システムです。図面の簡単登録や検索機能、版管理など、厳選した基本機能を搭載しています。
図面のペーパーレス化でお困りの方は、ぜひ「NAZCA5 EDM」の導入をご検討ください。
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