製造業における製造工程のミスは、製品の品質や納期に大きな影響を与えることがあります。とくに、図面管理の不備が原因で誤った製品が作られることは避けたい事態です。
本記事では、製造ミスのリスクとその原因を解説し、効果的な対策を紹介します。
製品の安全性と品質向上に役立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。
目次
製造ミスとは、出荷した製品に不具合が発生した際、製造工程での作業漏れや作業ミスが原因で起こる不具合のことを指します。ここでとくに注目したいのは作業ミスの一因である「図面の取り違い」です。
図面は製品の設計図であり、すべての製造工程の基盤となる重要な資料です。しかし、旧版の図面を使用したり、改訂中の図面を誤って使用したりすることで、意図しない製品が作られてしまうことがあります。
製造ミスが発生すると、企業の経営に大きな打撃を与える可能性があります。ここでは、本来製造するはずだった製品と違うものを作ってしまったときに生じる3つのリスクを解説します。
誤った製品をつくってしまうと、製品の強度や耐久性が不足し、最悪の場合、重大な故障や事故が発生することがあります。たとえば、このようなことは、旧版の図面を使用して製造した場合などに起こります。
なぜなら、設計上の重要な変更点が反映されていない可能性があるからです。これにより、製品の強度や耐久性が不足し、安全性が損なわれることにつながります。
製造ミスが発生すると、その影響は製品の安全性だけに留まりません。
たとえば、旧版の図面を使用して誤った製品を作成した場合、再製造や修正が必要となり、材料費や人件費が追加で発生します。また、製品の不良によって顧客からのクレーム対応や返品処理に対応せねばならず、さらにコストがかかります。
誤った製品を製造した場合、再製造や修正が必要となり、その分だけ生産スケジュールが遅れます。また、サプライチェーン全体にも影響を及ぼし、部品の供給や組み立て工程にも遅延が発生するでしょう。
結果として、最終製品の納期が遅れ、顧客からの信頼を失いかねません。
製造ミスの多くは、図面の取り違いが原因です。
ここでは、製造ミスを引き起こす具体的な5つのヒューマンエラーの原因を解説します。
これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、製造ミスの発生を大幅に減らせるでしょう。
図面のバージョン管理が徹底されていないと、設計変更や修正が反映されていない古い図面を誤って使用してしまうことがあります。
たとえば、製品の設計が変更されたにもかかわらず、情報が製造現場に伝わっていない場合、旧版の図面に基づいて製品が作られてしまいます。
この場合、設計変更が反映されていないため、強度が不足する、重要な部品が欠落する、寸法が異なるなどの問題が生じるでしょう。
サプライヤーは提供された図面に基づいて部品を製造します。このため、旧版の図面が配布されると、設計変更が反映されていない部品が納品されるでしょう。
結果、旧版の図面で製造してしまうことと同じ問題が発生してしまいます。
組図とBOMは密接な関係にあり、一方が更新されると他方もそれに合わせて更新が必要です。組図とBOMの役割について、以下にまとめました。
・組図:
各部品の位置関係や取り付け方、順番などの情報が描かれ、製造工程において製品の組み立てを指示している図面
・BOM(Bill Of Materials(部品表)):
製品を製造するために必要な部品や素材の一覧。部品名や部品数、部品の規格や寸法などが記載されており、材料管理やコスト計算の基礎データ
BOMに新しい情報が反映されていないと、必要な部品が発注されず、製造工程で問題が発生します。
製品の設計は一度確定した後も、改善や修正のために図面が頻繁に改訂されることが一般的です。しかし、この改訂情報が製造現場に適切に伝達されず、すでに古くなった図面で製造するケースがあります。
また、図面の改訂は通常、設計部門で行われますが、新しい図面が製造現場に届くまでにはタイムラグが生じる場合があります。さらに、製造途中で図面が改訂された場合、製造現場ではどの図面を参照すべきか混乱が生じ、結果的にミスを引き起こすこともあるでしょう。
図面は設計部門で検討や修正を経て改訂版が作成されます。また、正式な図面として使用されるためには、検図、審査者、承認者など設計部門内での承認が必要です。このプロセスには、設計の精度を確認するためのレビューや検証が含まれており、設計上の不確定要素や潜在的な問題を解消するための重要なステップです。
しかし、何らかの理由で承認前の図面が誤って製造現場に配布されてしまうと、設計上の不確定要素や未解決の問題を含んだ状態で製品が作られてしまいます。
たとえば、設計変更が途中だったり、寸法や材料の指定が確定していなかったりなどがあげられます。
製造ミスを防ぐためには、図面管理の徹底が不可欠です。ここでは、具体的な対策として以下の3つのポイントを解説します。
これらを対策することで、ヒューマンエラーを減少させ、製品の品質と納期を確保できるでしょう。
設計変更や修正が行われるたびに、図面のバージョンを最新に更新し、製造現場が常に最新の情報を基に作業できることが大切です。具体的には、設計部門で変更が確定した際、即座に図面の新しいバージョンをシステム上で確認できる仕組みがあるとよいでしょう。
たとえば、新しいバージョンの図面には、最新の設計仕様や材料の変更、寸法の修正が反映されるため、設計通りに製造されるでしょう。これにより、旧版の図面を使用した場合に発生する不良品や品質トラブルを未然に防ぐことにつながります。
ワークフローを導入することで、設計から製造までのプロセスが明確になり、各ステップでの確認と承認が徹底されます。たとえば、設計変更が発生した場合、ワークフローを通じて関係者全員に通知が行き渡るので、最新の情報を共有できるでしょう。
さらに、図面の改訂中を見える化することで、製造のロス削減、品質向上への効果が期待できます。旧版となる図面の新規製造を止めたり、在庫部品を使い切ってから、新図での部品を適用したりするなど、事前に準備ができるからです。
図面共有ツールを使用することで、設計部門から製造部門までリアルタイムで最新の図面を共有できます。これにより、旧版の図面を誤って使用するリスクが減ります。
また、これらのツールは、高速データアクセスと高セキュリティを搭載していることが多く、とくに大規模なデータを扱う場合におすすめです。
さらに、図面のアクセス権限の管理や変更履歴の追跡も容易になり、図面管理の効率化が図れます。
関連記事:図面管理システムとは?主な機能と導入するメリット
製造ミスを効果的に防ぐためには、図面管理システムの導入が不可欠です。
図面管理システムとは、製造業において図面のバージョン管理や共有、承認プロセスを一元的に管理するためのツールです。このシステムを導入することで、常に最新の図面を使用でき、ヒューマンエラーが大幅に減ります。
また、リアルタイムで図面を共有できるため、製造チーム全員が同じ情報にアクセスし、コミュニケーションの齟齬を防げるでしょう。 さらに、承認プロセスもシステム内で一元管理されるため、未承認図面の製造現場への流出を防ぎます。
図面管理システムを導入することで、製造ミスのリスクを最小限に抑え、効率的な製造プロセスを実現できるでしょう。
新明和ソフトテクノロジが提供する「NAZCA5 EDM(ナスカファイブ・イーディエム)」は、製造業が本当に使いたい機能を厳選した図面管理システムで、使いやすさと柔軟さを兼ね備えています。これにより、従来の図面管理ソフトより低コストでの提供を実現しています。
図面の簡単登録や版管理、ワークフローなど、厳選した基本機能を搭載しており、製造ミスを防ぐ図面管理システムです。
また、予算に合わせて、セルフ導入プラン、おまかせ導入プラン、フルカスタムプランの3つのプランをご用意しております。
製造ミスにお悩みの方は、ぜひ「NAZCA5 EDM」の導入をご検討ください。
製造ミスは企業にとってお客様への信用失墜、さらにコスト増加、納期遅延など大きなリスクをもたらします。その原因は、図面の取り違いに起因するヒューマンエラーも含まれます。
図面のバージョン管理を徹底し、ワークフローを導入し、図面が共有できるシステムを採用することで、これらのミスを防ぐことが可能です。
製造現場におけるミスを無くし、確実な品質を維持するために、図面管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。