図面管理システムとは?主な機能と導入するメリット
製造業で業務効率化を目指すなら、図面管理システムの活用がおすすめです。
図面管理システムを導入すると、情報の一元管理や、図面のすばやい検索など、さまざまなメリットを期待できます。
本記事では、図面管理システムの基礎知識や主な機能、導入するメリット、導入時の注意点について解説します。
目次
1.図面管理システムとは
図面管理システムとは、複数の図面や部品図、仕様書などを一元管理できるシステムのことです。従来は一つひとつの資料を関係者に配布し、各々が管理するのが一般的でした。
しかし、紙媒体の図面を一人ひとりに配布するのは手間がかかります。さらに、途中で図面に変更や更新があった場合、新しい資料を作成・配布しなければなりません。
また、製造業では既存の図面を再利用するケースもありますが、大量の図面の中から目当ての図面を探し当てるには時間と労力がかかってしまいます。
近年の日本は少子高齢化の影響により、どの産業も慢性的な人手不足に陥っています。製造業も例外ではなく、一人あたりの業務効率をアップさせることが目下の課題となっています。
図面管理システムを導入すれば、図面管理に費やす時間や労力を大幅に削減できるため、労働生産性の向上につながります。
関連記事:「図面管理の課題と効率的に行うためのポイントについて解説」
2.図面管理システムの主な機能
図面管理システムの機能はシステムによって異なりますが、代表的な機能は以下の5つに分類されます。
①図面の一元管理
電子データ化された複数の図面を、一元管理する機能です。CADで作成した図面データはもちろん、PDF図面、WordやExcelなどで作成したデータもまとめて管理することが可能です。
②版管理
版管理機能とは、図面の変更履歴を管理する機能のことです。図面データに修正や変更が加えられた場合、最新の図面にすばやくアクセスでき、
履歴をさかのぼれば、旧版の図面にもアクセス可能です。
③検索
図面データに付与されたキーワードを用いて検索できる機能です。図面番号や特定のキーワード、登録した人や日付など、さまざまな項目の組み合わせから目当てのデータを検索できます。
④外部連携機能
CADなどのソフトと連携できる機能です。システム同士を連携させておけば、例えばCADで作成した図面やキーワードをダイレクトに図面管理システムに登録させることが可能となります。
データ登録の手間を省けるのはもちろん、ヒューマンエラーによる登録ミスを防げるところが利点です。
⑤セキュリティ機能
データへの閲覧権限設定やアクセスログ など、セキュリティを強化する機能が搭載されています。データの閲覧や編集が可能な人物を細かく設定できるため、第三者による不正アクセスやデータ改ざんを予防できます。
アクセスログを見れば、いつ誰が何を変更したのかも簡単にチェックが可能です。
3.図面管理システムを導入するメリット
図面管理システムを導入すると、以下のようなメリットを期待できます。
①情報を一元管理できる
図面に関連する書類を一元管理できます。さまざまなファイル形式に対応しているため、ファイルの種類ごとにいちいちシステムを分ける必要がなく、図面はもちろんのこと、仕様書や技術文書などを図面と紐づけて管理できます。
また、図面や資料はすべて電子データとして保存・管理するので、紙媒体のように物理的な保管スペースは必要ありません。空いたスペースを他の用途に使えば、限られたスペースを有効活用できます。さらに、破損や紛失による再作図を防ぐこともできます。
②図面のバージョン管理も簡単に行える
図面はしばしばアップデートされますが、紙媒体の場合、関係者全員にその旨を伝えるまでにかなりのタイムラグが発生します。アップデートの情報が行き渡らなかった場合、古い図面のまま作業を進めてしまう可能性があります。
図面管理システムを導入すれば、アップデートされた情報がリアルタイムに反映されるため、関係者全員がすぐに最新の図面データを入手することができます。変更履歴をさかのぼれば古いバージョンのデータもチェックできるため、以前の図面と比較したいというニーズにも対応可能です。
③情報を簡単に共有できる(ナレッジ・ノウハウ)
図面管理システムのサーバにアクセスできる環境下であればいつでもどこでも情報を共有できる仕組みになっています。図面データはもちろん、製造工程の情報などのデータもまとめてアップしておけば、必要なときに必要なナレッジやノウハウをすぐに引き出すことが可能です。
情報共有のための問い合わせや伝達の手間を省けるので、業務効率アップに役立ちます。
④セキュリティの高い情報共有ができる
紙媒体の資料、あるいはUSBメモリに図面データを保存する場合、紛失や盗難のリスクがあります。重要機密情報の漏洩は業績の悪化やイメージダウンといった大きな損失を招く原因となります。
図面管理システムには、データの閲覧・編集を制限したり、変更履歴を表示したりするセキュリティ機能が搭載されているため、安全にデータを共有することができます。
⑤必要な図面を素早く検索できる
図面管理システムの検索機能を使えば、必要な図面をすばやく探し出すことができます。検索項目はカテゴリやキーワードなど多岐にわたるため、それらを組み合わせれば、ファイル名を忘れてしまった場合でも目当てのデータを手軽に検索できます。
関連記事:「図面管理システムを導入するメリットと導入の壁とは?」
4.図面管理システムを導入する際の注意点
図面管理システムを導入する際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。
①自社の課題と導入の目的を明確にする
図面管理システムは非常に便利なツールですが、それは現場で有効活用された場合の話です。明確な目的もなく、ただ何となく導入した場合、システムを使いこなせずに無用の長物になってしまうおそれがあります。
システムの導入には多少なりとも手間やコストがかかるので、導入前の段階で自社の課題や導入の目的を明確にし、システムをどのように活用するのかきちんと決めておきましょう。
②導入後の運用方法を検討する
システムをうまく活用するためには、導入後の運用方法をしっかり検討しておくことが大切です。
たとえば、データにどのようにカテゴリ分けやキーワードを付与するか、誰に閲覧・編集権限を付与するか、システムについて問い合わせがあったときに誰が対応するかなどです。
行き当たりばったりで運用すると、業務効率アップどころか本業に支障を来す原因になるおそれがあるので、運用ルールはあらかじめ定めておくことをおすすめします。
③自社に合った製品を選定する
図面管理システムは長期間にわたって利用するのが一般的なので、自社のニーズや目的に合ったものを選ぶことが大切です。搭載されている機能や価格などをじっくり比較し、自社にとって最も使い勝手が良さそうなシステムを選定しましょう。
実際に当該システムを導入した事例などを参考にしてみるのもおすすめです。
5.メリットが豊富な図面管理システムを導入しよう
図面管理システムを導入すれば、数々の図面や資料をシステム上で一元管理できるようになります。図面の更新や情報の共有も簡単に行えるため、業務を進めるうえで必要なプロセスを短縮することが可能です。
システムに搭載されている機能は製品によって異なるので、自社の課題やニーズなどに照らし合わせて、最も適切なシステムを選ぶようにしましょう。
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