図面管理をファイルサーバーからシステムへ移行するコツ|ありがちな失敗ポイントも解説

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ファイルサーバーによる図面管理がシンプルで手軽なため、製造現場や設計部門で長年活用されています。しかし、データの増加や組織拡大に伴い、運用面での限界が見え始めています。バージョンの混在や検索の手間、閲覧権限の管理など、日常的な業務負担が積み重なりやすい点が課題です。

一方、図面管理システムへの移行を急ぐと、現場に合わなかったり、使いこなせなかったりするなど、期待した成果が得られないケースも少なくありません。導入の効果を得るには、自社の運用フローや、設計体制に即したシステムを選定することが重要です。

この記事では、ファイルサーバーによる図面管理のおもな課題や移行時の失敗要因、システム導入を円滑に進めるための4つのコツを解説します。図面データの管理効率を高めたい設計・製造部門のリーダーやDX推進担当者の方は、参考にしてください。
  

目次

  1. 図面をファイルサーバーで管理する4つの課題
  2. 図面管理をファイルサーバーからシステムに移行する際のありがちな失敗4選
  3. 図面管理をファイルサーバーからシステムへ移行する4つのコツ
  4. 図面管理システムは、自社の製造現場に合ったものを選ぼう
 

1.図面をファイルサーバーで管理する3つの課題

図面データをファイルサーバーで共有・保管している製造業は、少なくありません。しかし、図面の数やバージョンが増えるにつれ、運用上の非効率や情報の混乱が目立ち始めています。ここでは、多くの企業が直面しやすい4つの課題を整理しました。


現状の運用を見直すきっかけとして、自社の課題と照らし合わせながら確認してください。

1-1.バージョン管理が難しい

ファイルサーバーで図面を共有する場合、改訂のたびに旧データと新データが混在しやすくなります。台帳で管理されていないと、誰かが誤って古い図面を参照し、そのまま製造工程に回してしまうことも。このようなミスは、部品寸法の違いや加工条件の不一致などを引き起こし、製造ラインの手戻りや再加工につながります。

さらに、設計変更の反映漏れが発生すると、関連部署間で再確認や再承認のやり取りが増え、業務スピードにも影響します。最悪、間違った図面で物を作るといったインシデントが発生し、納期遅延やコスト増加などの経営リスクにも直結するため、注意が必要です。

1-2.検索しにくい

ファイルサーバーで図面を管理していると、案件や製品ごとに新しいフォルダが追加され、年月を重ねるごとに階層構造が複雑化します。目的の図面を探すまでに何層ものフォルダをたどることになるため、過去案件の再利用や修正作業に時間がかかりがちです。

ファイル名や登録ルールが担当者ごとに異なると、検索機能を使ってもヒットしなかったり、類似データが大量に表示されて判別できなかったりと、さまざまな問題も発生します。案件が増えるたびに構造が肥大化し、「どこに、何があるのか」さえ把握不可能な状態に陥りやすいのです

さらに、担当者が不在だったり、退職してしまったりした場合、その人しか把握していなかったフォルダ構成や命名ルールがわからず、過去図面を探し出すのに多くの時間を費やすケースも少なくありません。こうした属人化は、設計・製造のどちらにも影響を及ぼし、業務の継続性を損なう大きなリスクになります。
   

1-3.権限管理が難しい

ファイルサーバーで図面を管理する場合、アクセス権限をWindowsエクスプローラー上で設定するケースが一般的です。しかし、部署や個人単位で細かく制御しようとすると設定作業が煩雑になり、更新漏れや誤った付与によって、閲覧不要な図面まで共有されるリスクが生じます

Windows Serverでも監査ポリシーを有効化すれば、操作履歴をイベントログとして取得することは可能です。ただし、標準では無効化されているため、多くの企業で未運用となっており、実際には「誰がいつ編集・削除したか」を正確に追跡不可能なのが現状です。

監査ログを活用すれば理論上は追えますが、設定や分析の運用コストが高く、継続的な管理体制を維持できない企業も少なくありません。そのため、組織変更や人事異動のたびに、こうした運用を続けるのは困難といえるでしょう。
 

1-4.Excelによる台帳管理はいずれ破綻する

図面管理をExcelで台帳化し、ファイルサーバー上のフォルダと紐づけて運用している企業は少なくありません。しかし、図面の登録数が増えるにつれて行数が膨大になり、数万行を超えるとExcel自体の動作が重くなり、ファイルが破損して開けなくなるといったトラブルも発生します。

また、オンプレミスのExcelは同時編集に弱いため、誰かが開いている間は、ほかの人が更新できません。結果として、図面を新規登録・更新した際に「あとで書こう」と思っても、ほかの人が編集中で、記入を失念してしまうケースが頻発します。つまり、手作業だけに頼ると、図面と管理台帳の整合性を保てなくなるおそれがあるのです。

このように、Excel台帳とファイルサーバーを併用する管理方法は、運用初期は手軽でも、データ量の増加とともに破綻しやすい非効率な仕組みといえます。
 

2.図面管理をファイルサーバーからシステムに移行する際のありがちな失敗4選

ファイルサーバー運用に限界を感じ、図面管理システムへ移行を進める企業は増えています。しかし、システムを導入しただけでは業務効率が上がらず、現場に定着しないケースも多いです。ここでは、移行時に起こりやすい4つの失敗ポイントを解説します。


導入後のトラブルやコスト損失を防ぐために、把握しておきましょう。
  

2-1.システムメーカーのサポート担当の業務知識が乏しい

図面管理システムの導入後、メーカーのサポート担当者が十分な業務知識を有していない場合、現場の課題に即した対応がされず、運用が停滞してしまうケースがあります。

たとえば、製造業特有の図面改訂フローや承認プロセスを理解していないと、「どうやって機能を使えばよいか」と相談しても、質問の意図が正確に伝わらないのです。この場合、メーカーから形式的な回答しか得られないため、ユーザー側が独自に試行錯誤を強いられる状況に陥ります

また、システム設定の調整や不具合対応にも時間がかかり、せっかく導入したのに効果を得られないまま、現場の信頼を失うこともあります。
 

2-2.自社の運用に合わない

図面管理システムは導入して終わりではなく、実際の業務運用に定着してこそ効果を発揮します。しかし、自社の設計・製造フローに合わない仕様を採用してしまうと、作業工程が増えたり、承認ルートが複雑化したりして、かえって効率が低下することがあります。

現場の使い勝手を無視すると、社員がファイルサーバーへ逆戻りするケースも少なくありません。「システムに合わせる運用」ではなく、「運用に合わせたシステム設計」が重要です。

新明和ソフトテクノロジでは、導入前のトライアル段階で実際の運用設計を行うため、導入後に「こんなはずじゃなかった」という事態を防げます。製造業の現場ノウハウをもとに、最適な図面管理環境を構築します。 

参考|製造現場に寄り添う図面管理システム「NAZCA5 EDM」はこちら

  

2-3.機能を使いこなせない

多機能な図面管理システムを導入しても、操作が複雑すぎて現場で使いこなせず、利用が定着しないケースも少なくありません。とくに、現場に必要な機能と実際の運用負荷のバランスを誤ると、せっかくの高機能が「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

たとえば、CADデータの自動バージョン管理機能(上書き時に強制的に世代を保存するタイプ)を導入したものの、大容量のファイルが自動で何世代も蓄積され、サーバー容量を圧迫。バックアップや整理の手間が増え、最終的に機能を停止せざるを得ないケースもあります。

また、近年注目されているAI類似図面検索機能も、実際には活用されない例が見られます。「類似」の判断基準は人や企業によって異なり、範囲を広げすぎると検索結果が膨大になり、「似ているけれど使えない図面」が大量にヒットしてしまうことも。

さらに、一品ものやカスタム製品を多く扱う企業では、仕様の違う類似図面が多数保存されています。そのため、結局そこから人手で探し直すことになり、効率化どころか手間が増えるケースも少なくありません。大切なのは、「流行の機能」ではなく、自社の業務に定着する本当に必要な機能を見極めることです。

新明和ソフトテクノロジでは、製造現場が必要とする機能を、長年培った製造ノウハウをもってヒアリングで徹底解剖します。使いこなせる図面管理システムをお探しの方は、 新明和ソフトテクノロジ(NAZCA5 EDM) へご相談ください。

参考|使いこなせる図面管理システムのお問い合わせはこちら

  

2-4.費用対効果が低い

図面管理システムの導入で失敗しやすいのが、高価なシステムを導入しても成果を得られず、費用対効果を見誤るケースです。一方、安価な製品を導入しても、必要な機能が不足していて現場で活用できなければ、結果的にコストの無駄になります。

重要なのは、「価格」ではなく「どれだけ業務効率化に貢献するか」という観点で判断することです。導入後の運用コストやサポート体制も含めて、総合的に費用対効果を見極めましょう。

新明和ソフトテクノロジが提供する NAZCA5 EDM は、製造業が本当に必要とする機能に特化した図面管理システムです。過剰な機能を省き、現場で使いやすく効果を実感できる設計を実現しています。製造業の業務効率を最大化するシステムをお探しの方は、NAZCA5 EDMをご検討ください。 

参考|製造現場の声から生まれた「本当に使える」図面管理システムはこちら

 

3. 図面管理をファイルサーバーからシステムへ移行する4つのコツ

図面管理システムの導入は、単にツールを切り替えるだけでなく、設計や製造、品質管理などの業務プロセス全体を見直す転機です。しかし、移行を急ぐあまり「検証不足のまま導入して現場が混乱した」という声も聞かれます。システムを導入することが目的化してしまうと、期待した成果を得られずに終わってしまうのです。

ここでは、移行を成功させるための4つのコツを紹介します。


それぞれ実践してみてください。
  

3-1.製造業を理解したベンダーを選定する

製造業務のノウハウがあるベンダーは、課題を伝えるだけで意図を正確にくみ取り、自社の設計・製造フローに合った運用方法を提案してくれます。そのため、導入段階から製造業の業務構造や課題を理解しているベンダーを選ぶことが重要です。

また、導入後も現場の実情を踏まえたアドバイスが受けられるため、システムがスムーズに定着し、長期的に運用効果を維持できます。

新明和ソフトテクノロジは、製造業の現場理解に基づいた提案力とサポート体制が強みです。導入から運用定着までを一貫して支援し、製造現場に最適な図面管理環境を構築します。製造業の実情を理解したパートナーをお探しの方は、新明和ソフトテクノロジへご相談ください。 

参考|製造業に強いITベンダーをお探しの方はこちら

 

3-2.自社の実施したいことを伝え、複数社比較する

自社の「実施したいこと」を要件に落とし込み、優先度を付けたうえで、同一条件を各社へ提示します。評価軸は、運用適合性・使い勝手・サポート体制・連携の柔軟性・総コストの5点を数値化し、客観的に評価するとよいでしょう。以下に、おもな比較手段をまとめました。

比較手段

確認ポイント

実行のコツ

製品サイト

機能一覧、導入事例、料金体系

費用が自社の規模とあっているか、
自社の課題を解決できそうな機能が搭載されているか、を確認する

展示会

実機デモや操作感、担当者の知識レベル

自社課題をその場で提示し、即答の質や対応姿勢を確認する

比較サイト

価格帯や導入条件の相場感を把握

見積結果から候補を3社ほどに絞り、詳細ヒアリングを依頼する

オンラインセミナー

導入事例や運用ノウハウを学ぶ

質疑応答で自社に似たケースの事例の有無を質問し、適用の可否を判断する

メルマガ

機能アップデートや改善状況の把握

更新頻度や内容から、サポート体制の充実度を読み取る


それぞれ確認できるポイントが異なるため、可能な限り複数の手段を組み合わせて検討するとよいでしょう。
 

3-3.トライアルで自社に合うか確認する

導入前のトライアルは、システムの使い勝手を確かめる絶好の機会ですが、その内容が自社の実際の運用に合っていないケースも見られます。試用環境が限定的で、承認フローや図面共有など実務条件の再現に対応していない場合、本番導入後に「想定と違った」というギャップが生じることも。

一方、ベンダーによっては自社の業務プロセスに合わせたトライアルを実施し、現場での操作感や運用方法を細かく検証できる場合もあります。そのようなベンダーであれば、導入前に課題を洗い出し、最適な運用設計を進められます。

トライアルは「お試し」ではなく、「導入後を見据えた実運用のシミュレーション」として活用しましょう。
 

3-4.他システムとの連携も将来的に見据える

図面管理システムは、単独で使うよりも他システムと連携させることで、業務効率を大きく向上させられます。たとえば、CADとの連携により、CAD上の操作から図面管理システムへの登録や呼び出しが実現します。CAD図面の属性情報と図面管理情報を自動的に連携されるため、異なる環境間での転記作業や入力ミスが減り、設計者が慣れた環境のまま効率的に運用できるでしょう。

また、生産管理システムと連携すれば、設計変更や部品表(BOM)の修正が即時に反映され、製造現場との情報齟齬の防止につながります。

このように、設計から製造までのデータを一気通貫で扱える仕組みを整えることで、業務全体のスピードと品質が上がります。将来のシステム拡張を見据え、CADや生産管理と柔軟に連携可能な構成を選ぶことが、長く使えるシステムを構築するうえで、重要なポイントです。
 

4.図面管理システムは、自社の製造現場に合ったものを選ぼう

ファイルサーバーによる図面管理は手軽な反面、バージョン管理や検索性、権限設定など多くの課題があります。そのため、図面管理システムの導入を検討する企業が増えています。

しかし、システム導入時に、サポート体制が不足していたり、機能を使いこなせなかったりと、想定どおりの成果が得られないケースも少なくありません。自社の業務フローに合ったシステムを検証・導入するためには、製造現場の運用を理解したベンダーを選ぶことが重要です。

新明和ソフトテクノロジは、長年の製造業支援で培ったノウハウをもとに、現場の課題に即した最適な図面管理環境を提案します。自社開発の「NAZCA5 EDM」は、導入前の段階から運用設計を支援するため、導入後も安心して活用いただけます。

図面管理システムは、単にデータを保存するための仕組みではなく、設計・製造・品質をつなぐ「情報基盤」として機能することが理想です。ぜひ、製造ノウハウに自信のある新明和ソフトテクノロジに、基盤作りのお手伝いをさせてください。
 

参考|新明和ソフトテクノロジへのお問い合わせはこちら

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