製造業における図面の保管期間はどう決まる?PL法との関係性も解説
※本記事は2024年6月に公開した記事を、2026年6月に更新したものです。
製造業では、製品の開発から生産まで多くの工程で図面が使われます。図面は設計内容や製造手順を示すだけでなく、品質管理や製品改良にも欠かせません。一方で、図面をいつまで保管すべきかは見落とされやすく、必要なときに過去の図面が見つからないことも起こります。そこで、図面の保管にかかわってくるのが、PL法(製造物責任法)です。PL法は、製品の欠陥によって生じた損害について製造業者などが負う責任を定めた法律です。欠陥が問われたときに、設計の妥当性を示す図面が重要な役割を担います。
こちらでは、図面の保管とPL法の関係性、保管期間の決まり方、図面の活用方法を取り上げます。図面の適切な保管・管理に課題を感じている方は、ぜひご一読ください。
目次
1.図面の保管と製造物責任法(PL法)の関係性
製造業で図面を保管するうえで、意識しておきたいのがPL法(製造物責任法)との関係性です。ここでは、PL法の基本的な内容と、図面の保管がなぜ欠かせないのかを整理します。
PL法とは
PL法(製造物責任法)は、製品の欠陥が原因で消費者に生命・身体・財産の損害が生じた場合に、製造業者などが負う賠償責任を定めた法律です。被害者は、製品に欠陥があった事実を示せば賠償を請求でき、製造業者の過失まで立証する必要はありません。この無過失責任という考え方が、PL法の大きな特徴です。
対象となるのは、製造または加工された製品です。製造業にとっては、自社製品の欠陥がそのまま責任問題に直結しうる法律といえます。
図面の保管とPL法の関係性
PL法では、製品の引き渡しから原則10年間は損害賠償を請求される可能性があります。その期間に欠陥を問われた際、設計や製造の判断が妥当だったかを示す資料が図面です。当時の仕様や設計根拠を図面で確認できれば、自社の主張を裏づける手がかりになります。一方、図面が残っていなければ、過去の設計内容を説明する手段を失いかねません。こうした理由から、図面は製品の責任期間を見据えて保管しておく必要があります。
図面を長期にわたって保管するうえでは、紙のまま管理するか、データ化するかも検討したいところです。紙図面の保管方法とシステム併用のポイントは、別の記事でまとめています。図面の保管方法を具体的に見直したい方は、あわせてご覧ください。
関連記事:紙図面の保管方法とは?図面管理システムを併用するメリットも紹介
2.図面の保管期間の決まり方
図面の保管期間は、法律で一律に決められているわけではありません。どのような要素で決まるのか、3つの観点から見ていきましょう。
製品の寿命
保管期間を考えるときの基準になるのが、製品の寿命です。製品の寿命は、販売開始から後継品への切り替えまでを1つの目安とする見方があります。ただし、需要の変化や技術の進歩によって、その長さは前後するでしょう。
図面には設計や製造に必要な情報が含まれ、製品が市場で使われ続ける間は参照される場面も出てきます。どのくらいの期間使われる製品なのかを踏まえ、保管期間を見積もることが大切です。
製品の性質・重要度
製品の性質や重要度によっても、適した保管期間は異なります。たとえば買い替えサイクルの短い消費財なら、図面の保管期間も比較的短く設定される傾向があります。
一方、安全性や品質に直結する製品では、長期の保管が求められるケースも少なくありません。長く販売される製品や、特殊な部品を使った製品も同様です。製品が持つリスクや市場での位置づけを踏まえて、保管の長さを判断するとよいでしょう。
法令・社内規定・業界標準
保管期間は、外部のルールと社内のルールの両面から決まることもあります。たとえば、特許や知的財産権にかかわる情報は、長期の保存が求められる場合があります。加えて、業界ごとの標準的な慣行や、品質保証の要件が基準になることも少なくありません。これらに自社の内部規定を組み合わせて、最終的な保管期間を定めるのが現実的です。複数の基準を照らし合わせ、過不足のない保管ルールの整備が求められます。
こうした保管ルールを紙の図面だけで運用すると、保管場所の確保や該当図面の探し出しに手間がかかります。NAZCA5 EDMは、図面の保管から検索までをデータで一元管理できる図面管理システムです。図面の保管方法や管理の仕組みから見直したい方は、製品の特長をご覧ください。
3.シーン別で見る図面の活用方法
図面は、製造業のさまざまな工程で共通して使われる資料です。設計から製造、検査、そして納品後のメンテナンスまで、各場面で図面がどう活用されるのかを見ていきましょう。
設計・製造
設計の工程では、製品の形状や寸法、材料といった情報を1枚の図面にまとめます。設計者が仕様を検討し、その内容を反映したものが図面です。製造の工程では、できあがった図面をもとに加工や組み立てが進められます。作業者が図面の内容を正しく読み取れれば、仕様どおりの製品を安定して作れるでしょう。設計から製造まで、図面は現場をつなぐ大切な役割を担います。
なお、過去に作成した図面は、新しい製品の設計にも活かせます。自動作図ツールを使った過去図面の再利用については、別の記事でまとめました。設計の手間を抑えたい方は、あわせてご覧ください。
関連記事:自動作図ツールで設計の負担を減らす方法とは?過去図面の再利用とメリットも解説
検査・品質管理
検査の工程では、図面が品質を判断するためのものさしになります。図面に製品の仕様や検査の基準が示されていれば、検査担当者はこれと実際の製品を照らし合わせて合否を判断できます。
寸法や形状が図面どおりかを確認することで、品質のばらつきも抑えられるでしょう。基準が図面という形で明確になっていると、誰が検査しても同じ視点で向き合いやすくなります。品質管理の精度を保つうえで、図面は欠かせない存在です。
メンテナンス・修理
納品後のメンテナンスや修理でも、図面は製品の構造や部品の配置を知る手がかりになります。たとえば、どの部品がどこに組み込まれているか、交換にはどの寸法の部材が必要かを、図面から確かめられます。製造当時の設計内容がわかれば、現物を分解する前に作業の段取りを立てやすくなるでしょう。年月が経った製品ほど記憶や口頭の引き継ぎだけでは対応が難しく、図面の存在が頼りになります。
ただし、必要な図面がすぐに見つからないと、対応が滞ってしまいます。過去の図面を探す時間を短くする工夫は、別の記事でまとめました。図面の検索に時間がかかると感じている方は、あわせてご覧ください。
関連記事:図面管理システムで図面の検索に時間がかかる理由|短縮するポイントを解説
4.図面を適切に保管・管理するならNAZCA5 EDM
図面の保管期間は法律で一律に定められているわけではなく、PL法の責任期間や製品の特性、社内外のルールを踏まえて決まります。図面は設計から製造、検査、メンテナンスまで幅広く使われる資料です。必要なときにすぐ取り出せる状態で保管しておくことが、品質と責任の両面から求められます。紙のままでは保管や検索の負担が増えるため、データ化して管理する方法が有効です。
新明和ソフトテクノロジが提供するNAZCA5 EDMは、製造業のIT部門がつくった図面管理システムです。図面の登録や検索、版管理に必要な機能を備えています。図面の保管・管理の見直しを考えている方は、ぜひ詳細資料をご覧ください。
【Q&A】製造業における図面の保管期間に関する解説
Q1.図面の保管は製造物責任法(PL法)とどのような関係性がありますか?
A.PL法では、製品の欠陥による事故が起きた際、設計や製造の妥当性を説明する責任が生じます。図面は当時の設計内容や判断根拠を示す資料となるため、適切な期間・方法での保管が求められます。
Q2.図面の保管期間はどのように決まるのですか?
A.法令で明確に定められているケースは少なく、PL法の責任期間や業界慣行、製品の使用年数などを踏まえて判断します。一般的には「製品の製造終了後も一定期間保管する」運用が多く見られます。
Q3.図面はどのような場面で活用されますか?
A.図面は設計から製造、検査、メンテナンスまで各工程で基準となる資料です。紙の図面は直感的に扱える一方、更新や管理に手間がかかる面もあるため、データ化して管理する方法も有効です。


