図面検索システムの選び方とは?AI類似検索と属性情報検索の2つの方法を徹底比較
図面管理の効率化は、製造業や建設業にとって重要です。とくに中小企業にとっては、限られた予算の範囲内で最適な図面検索システムを選定することが必要でしょう。
この記事では、図面検索システムの選び方について、AI類似検索と属性情報検索の2つの方法を紹介します。
ぜひ、図面管理の効率化を図り、業務の生産性向上に役立ててください。
目次
1.図面検索システムとは?
図面検索システムは、企業や組織が保有する大量の図面データを効率よく管理したり検索したりするツールです。設計や製造の現場では、多種多様な図面が日々作成され保存されます。しかし、必要な図面をピンポイントで手作業により探し出すのには、時間がかかるでしょう。
そこで、図面検索システムを活用すると、必要な図面を迅速に見つけ出せるため、作業効率が向上します。
また、設計変更やバージョン管理もスムーズに行えるため、ミスやトラブルを未然に防げることも魅力です。
2.図面検索の方法は基本的に2通り
図面検索システムは、図面自体から検索する方法と図面の属性情報から検索する方法の2つの検索方法があります。ここでは、それぞれの概要を説明します。
なお、図面検索システムには検索方法の違い以外に、システム環境の違いもあります。
クラウドとオンプレのシステム環境の違いに興味がある方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:オンプレミス型 vs クラウド型!図面管理システムの比較
2-1.AI類似図面検索とは?図面自体から検索する方法
ここでは、AI類似図面検索の特徴と仕組みをまとめました。
2-1-1.AI類似図面検索とは
AI類似図面検索は、AI技術を用いて図面そのものの形状や特徴を解析し、類似した図面を自動で検索する方法です。 AI技術を活用することで、従来のキーワード検索では見逃してしまうような類似点やパターンを見つけ出せます。
2-1-2.AI類似図面検索の仕組み
以下に図面がAI技術によって検索されるまでの手順をまとめました。
- 図面データをデジタル化し、そのデータをAIが解析する
- AIが図面の形状や寸法、パターンなどを細かく分析し、それらの特徴をデータベースに保存する
- ユーザーが検索したい図面をAIに入力すると、AIはデータベース内の図面と比較し、類似した図面をリストアップする
これらのプロセスは高速で、膨大な数の図面から瞬時に必要な図面を見つけ出すことが可能です。また、AIの学習機能により、使用するたび検索精度が向上するため、使えば使うほど利便性が高まります。
2-2. 図面の属性情報から検索する方法
ここでは、図面に付随する属性情報から図面を検索するシステムの特徴と仕組みをまとめました。
2-2-1.図面の属性情報から検索する方法とは
図面に付随する様々な情報を利用して、目的の図面を特定する手法です。付随する情報の例を以下にまとめました。
属性 | 内容 |
---|---|
図面番号 | 自社ルールに基づく固有の番号 |
図面名称 | 名称 |
製品型式 | 製品固有の番号 |
作成日 | 作成された日付 |
設計者名 | 設計者の名前 |
プロジェクト名 | プロジェクトの名前 |
図面の種類 | 例:設計図、製造図、配置図など |
更新日 | 最後に更新された日付 |
これらの属性情報により、特定の条件に合致する図面を迅速に見つけられます。
2-2-2.図面の属性情報から検索する仕組み
以下に、属性情報により図面が検索されるまでの手順をまとめました。
- 図面に属性情報を付与する
- 属性情報をデータベースに保存する
- ユーザーが属性情報を基に検索条件を設定する
(例)たとえば、検索条件に「作成者がA氏」「材質がアルミ」「作成日が2022年以降」といった条件を入力する、など - データベースから該当する図面を抽出する
これにより、特定の属性情報に基づいて迅速かつ正確に図面を検索できます。なお、図面管理の方法について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:製造業の図面管理システム、どこまで求める? フォルダ管理、検索・管理システム、AI類似図面検索まで
3. AI類似図面検索のメリット・デメリット
AI類似図面検索は、とくに多くの図面を扱う企業や、図面の内容が複雑な場合に有効です。ここではメリットとデメリットを解説します。
3-1. AI類似図面検索のメリット
AI類似図面検索は、従来のキーワード検索とは異なり、視覚的な情報を基にして検索をするため、特定のキーワードが不明な場合でも効率的に図面を見つけられます。
以下に、おもなメリットを3つ紹介します。
- 高速で精度の高い検索
- 学習機能による精度向上
- キーワード検索と組み合わせることで、高精度な検索を実現
それぞれ見ていきましょう。
3-1-1.高速で精度の高い検索
AI技術の活用により、図面の形状やパターンを解析し、類似する図面を自動で見つけ出せます。これにより、設計者やエンジニアが図面の内容を詳しく知らなくても、必要な図面を簡単に検索できます。
また、従来のキーワードや属性検索では見つけにくかった図面も素早く見つけられ、業務効率が向上します。
3-1-2.学習機能による精度向上
AIは過去の検索履歴やユーザーの操作を学習し、次回以降の検索でより正確な結果を出力できます。これにより、使えば使うほど検索精度が高まり、図面管理の効率化が進みます。
3-1-3.キーワード検索と組み合わせることで、高精度な検索を実現
AI類似図面検索とキーワード検索を組み合わせることで、より意図にあった図面を素早く見つけ出せます。たとえば、新しい設計プロジェクトで過去の類似図面を参考にしたい場合などに効果的です。
この検索方法は新入社員など経験の浅いスタッフでも、勘や記憶に頼らず効率よく作業を進められます。
3-2.AI類似図面検索のデメリット
多くのメリットを持つ一方で、デメリットも存在します。以下に、おもなデメリットを3つ紹介します。
- 初期導入コストが高い
- 学習データの質に依存する
- セキュリティとプライバシーのリスク
詳しく見ていきましょう。
3-2-1.初期導入コストが高い
高度なAI技術を活用するために、ソフトウェアやハードウェアの購入、設定、導入後のメンテナンス費用などがかかるため、とくに中小企業にとっては大きな投資となります。
また、システムのカスタマイズや従業員のトレーニングにも追加コストが発生する可能性があります。
3-2-2.学習データの質に依存する
初期段階で十分なデータがない場合、AIの検索精度が低くなり、期待通りの結果を得られないことがあります。
また、定期的に新しいデータを追加し、AIを更新し続けなければ検索精度が上がらないため、更新の手間が増えることも考慮しなければなりません。
さらに、AIは学習データに依存するため、データに偏りがあるとその偏りが検索結果に反映されるリスクがあるため、注意が必要です。
3-2-3.セキュリティや責任の所在にリスクがある
システムが扱う図面やデータには企業や個人の機密情報が含まれることが多く、不正アクセスやデータ漏洩のリスクが存在します。
また、AIが他者の知的財産を無断で利用したり模倣したりする可能性があり、著作権や特許権の侵害が問題となることも。
さらに、AIシステムが提供する検索結果や判断が誤っている場合、責任の所在が、システム開発者、運用者、使用者の間で曖昧になることがあります。
4.属性情報から図面を検索するメリット・デメリット
ここでは、属性情報を利用した検索方法のメリットとデメリットを詳しく解説します。
4-1.図面を属性情報から検索するメリット
以下に、属性情報から図面を検索する際のおもなメリットを3つ紹介します。
- 高い検索精度
- 簡単なデータ管理
- 柔軟な検索条件の設定
詳しく見ていきましょう。
4-1-1.高い検索精度
図面番号、作成日、設計者名、プロジェクト名などの具体的な情報を基に検索をするため、高い検索精度を発揮します。これにより、膨大な数の図面の中から必要な図面を効率的に見つけ出します。
4-1-2.簡単なデータ管理
属性情報検索は、構造がシンプルで管理が容易です。図面に関連する属性情報を一元管理することで検索だけでなく、図面の属性情報の自動更新が可能です。
また、属性情報が整備されることで、図面のトレーサビリティ(追跡可能性)が向上し、誰がいつどの図面を作成・更新したかを簡単に把握できます。
4-1-3.柔軟な検索条件の設定
属性情報のあいまい検索や細かい条件で絞り込めるため、目的の図面を迅速に特定できます。たとえば、特定のプロジェクト名と作成日を組み合わせて検索したり、設計者名と図面の種類を条件にて検索したりすることが可能です。
なお、図面を属性情報から検索できるシステムをお探しの方は、ぜひNAZCA5 EDMをご検討ください。NAZCA5 EDMは、使いやすさと高い検索精度を兼ね備えたシステムです。
関連記事:NAZCA5 EDMとは
4-2.図面を属性情報から検索するデメリット
図面を属性情報から検索する方法には、3つのデメリットが存在します。
- データ入力の手間とミス
- 図面情報の整備が必要
- 柔軟性の欠如
それぞれ見ていきましょう。
4-2-1.データ入力の手間とミス
属性情報を正確に入力するためには、多くの場合、手動でのデータ入力が必要です。この作業は手間がかかり、人的ミスが発生する可能性があります。
とくに、大量の図面を管理している場合、データ入力に費やす時間が膨大になり、入力ミスが検索結果に影響を与えることがあります。
そのため、属性情報を自動で入力するカスタマイズなどの検討も必要になります。
4-2-2.図面情報の整備が必要
図面情報が不足している場合や不正確な場合、検索の精度が低下し、必要な図面を見つけることが困難になります。
また、図面情報を適切に管理するためには、定期的な更新とメンテナンスが必要で、労力とコストがかかります。
4-2-3.柔軟性の欠如
新しい属性情報が必要になった場合や、既存の図面情報では対応できない複雑な検索条件が発生した場合には、システムの変更やカスタマイズが必要です。
これにより、迅速に対応できないケースが発生することがあります。
5.図面検索システムは、自社の予算と現場ニーズに合わせて選びましょう
図面検索システムの選定は、自社の予算と現場ニーズを考慮することが大切です。この記事では、AI類似検索と属性情報検索を解説しました。これらのシステムの違いを理解し、自社に最適なシステムを導入しましょう。
なお、新明和ソフトテクノロジが提供する「NAZCA5 EDM(ナスカファイブ・イーディエム)」は、製造業が本当に使いたい機能を厳選した図面管理システムで、属性検索機能を持った図面検索を行えます。ドラッグ&ドロップするだけで属性情報を付与する簡単登録機能や、キーワードによる絞り込みで、必要な図面を短時間で見つけ出す検索機能が標準機能として備わっています。
また、お客様の予算に合わせて、セルフ導入プラン、おまかせ導入プラン、フルカスタムプランの3つのプランをご用意しています。
属性情報検索の図面検索システムを検討中の方は、ぜひ「NAZCA5 EDM」の導入をご検討ください。