購買・調達業務を効率化し、発注ミスを防止する方法とは?システムの導入メリットを解説

製造業における購買・調達業務は、企業の生産活動を支える重要な役割を果たしています。しかし、納期が遅れたり、発注ミスをしてしまったりなど、さまざまな課題に直面することも少なくありません。
この記事では、これらの問題点の解決方法を解説します。購買・調達業務の効率化を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.調達と購買とは?違いを解説

製造業の業務において、購買と調達は意味や役割が混同されがちです。ここでは、購買と調達の違いを明確にし、役割について解説します。
- 調達とは何か?
- 購買とは何か?
- 購買と調達の違いとその役割
それぞれ見ていきましょう。
1.1 調達とは何か?
調達とは、企業が必要とする物資やサービスを外部から入手する一連の流れを指します。調達業務の範囲は広く、サプライヤーの選定や契約の締結、高品質なプロダクトを製造するための資材の品質管理などさまざまです。
また、調達業務には、実際に製造現場まで必要資材を供給するまでのプロセスも含まれるため、調達担当は、安定した資材供給の責任も担っています。
1.2 購買とは何か?
購買とは、すでに選定されたサプライヤーから資材やサービスを実際に購入するプロセスを指します。購買は調達の一部として位置付けられ、発注書の作成や発注確認、納品管理、支払い手続きなどがおもな業務です。
購買は企業が必要とする資材をタイムリーに確保し、プロダクトの製造やサービス提供を滞りなく進行させる役割を担っています。
1.3 調達と購買の違いとその役割
調達と購買は業務範囲と役割が異なります。以下に、調達と購買のおもな業務内容をまとめました。
■ 調達と購買の主な業務範囲 ■
業務 | 調達 | 購買 |
---|---|---|
サプライヤーの選定 | 〇 | |
契約交渉 | 〇 | |
資材選定 | 〇 | |
品質管理 | 〇 | |
発注作業 | 〇 | |
納品管理 | 〇 | |
検収 | 〇 | |
支払い | 〇 | |
全体管理 | 〇 |
このように、購買と調達は注力する業務範囲が異なります。しかし、それぞれが企業のコスト削減や品質向上、納期厳守による信頼性向上など、生産活動を支える重要な役割を担うため、密接な連携が重要です。
2.購買業務が抱える4つの課題
購買業務は製造に必要な部材を迅速に購入することが求められますが、いくつかの課題があります。ここでは、購買業務が直面する代表的な4つの課題を解説します。
- 発注ミスをするリスクがある
- 見積もり検討となる情報が煩雑である
- 適正価格での交渉が難しい
- 納期管理が困難である
それぞれ見ていきましょう。
2.1 発注ミスをするリスクがある
手作業によるデータ入力ミスをしたり、複数の発注書管理で混乱が生じたりなど、発注ミスの原因はさまざまです。また、サプライヤーとのコミュニケーション不足や、発注システムの不備もリスク要因の1つです。
たとえば、部品の型番や数量を間違えると、在庫不足や過剰在庫が問題となります。これにより、生産計画が狂い、顧客への納品遅延につながることがあります。また、間違った資材の発注は、追加コストや手戻りの原因となり、効率を低下させるため注意が必要です。
なお、発注ミス防止について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:図面管理システムで発注ミスを削減!製造ミスを減らすための導入方法は
2.2 見積もり検討となる情報が煩雑である
複数のサプライヤーからの見積もりを比較検討する際、各社の条件や価格が異なるため、情報の整理が困難になりがちです。たとえば、あるサプライヤーは部材の価格に加えて運送費を別途請求し、一方で別のサプライヤーは運送費込みの総額を提示するなど、項目の構成やフォーマットが統一されていないことが多いです。このような状況では、すべての見積もりを同じ条件で比較するために手作業でデータを統一しなければならず、非常に手間がかかります。
さらに、必要な部材や数量の変更が発生すると、単に見積もりを再取得するだけではなく、サプライヤーごとに異なる条件を再度調整し直す必要が出てきます。このプロセスには、サプライヤーとのやり取りや条件確認、さらには各社の回答内容を再精査する作業が伴うため、購買担当者の負担が大きくなる一因です。とくに、緊急の変更が発生した場合には、時間的な制約も加わり、混乱を招くこともあるでしょう。2.3 適正価格での交渉が難しい
サプライヤーとの交渉は価格だけでなく、納期や品質、アフターサポートなども考慮しなければなりません。また、市場の動向や価格変動を把握するスキルや知識が求められ、経験不足の担当者では交渉がうまくいかないことも。
交渉力を高めるためには、必要な情報を集め、さらに集めた情報から資材に関わるデータ分析が必要です。適正な価格を判断し、一方的な交渉を回避するために、担当者の育成は避けられません。
2.4 納期管理が困難である
サプライヤーの生産状況や物流の遅延など、さまざまな要因が納期に影響を与えます。資材が予定通りに届かないと、全体のスケジュールに影響を及ぼし、企業の生産計画や納期に支障をきたすことになります。
納期管理によるトラブルを避けるために、サプライヤーとの密なやり取りや正確な情報確認が重要です。
3. 購買業務を効率化する3つの方法
購買業務を効率化するためには、いくつかの方法があります。ここでは、以下の3つのポイントを解説します。
- 購買プロセスの標準化
- チーム間のコミュニケーション強化
- システムの導入
それぞれ見ていきましょう。
3.1 購買プロセスを標準化する
業務フローを作成し、可視化することで、誰がどの段階で何をするべきかが明確になります。また、購買実績を整理し、過去のデータを参照できる仕組みを採り入れると、より正確な情報に基づいて発注できます。発注方法などのルール統一は、手順の混乱を防げるため効果的です。
上記の実践には、まずは紙媒体からの脱却が不可欠です。購買業務に関わるさまざまなプロセスをデジタル化することで、情報の管理や共有がスムーズになるでしょう。
3.2 チーム間のコミュニケーション
情報の共有がスムーズに行われることで、無駄な手戻り作業や確認作業が減り、全体の業務のスピードが上がります。たとえば、設計部門が新しい仕様を決定した際、情報がリアルタイムで購買部門に共有されれば、迅速に適切な資材を手配できます。
また、在庫管理チームとの連携が強化されれば、必要な資材の在庫状況を把握し、過剰在庫や在庫不足を防げるでしょう。
さらに、定期的なミーティングや情報共有ツールの活用も効果的です。各部門の進捗状況をチェックしたり、課題を共有したりすることで、問題が発生しても、迅速な対策を打てます。
3.3 システムを導入する
購買業務を効率化するためには、適切なシステムの導入が重要です。ここでは、以下の3つのシステムの概要と購買業務への関わりを解説します。
- 購買管理システム
- 発注管理システム
- 図面管理システム
3.3.1 購買管理システム
企業が必要とする資材やサービスの購買プロセスを一元管理するためのツールです。購買管理システムの導入により、実現できるポイントを以下にまとめました。
<購買管理システム導入のポイント>
- 情報の一元管理
すべての購買情報を一元管理することで、情報が散らばることを防げる。サプライヤー情報や過去の取引履歴を簡単に参照可能なため、迅速に意思決定できる
- コスト削減
リアルタイムでコストデータ分析が可能。適正価格の判断材料となり、無駄な出費を削減できる
- 明確な在庫管理
在庫状況をリアルタイムで把握し、過剰在庫や在庫不足を防ぐことで、効率的な資材調達を実現する
これにより、さまざまな情報に基づいた購買判断が可能です。
3.3.2 発注管理システム
発注書の作成、自動発注、納期管理などの業務を効率化するためのシステムです。発注管理システム導入により、実現できるポイントを以下にまとめました。
<発注管理システム導入のポイント>
- 自動化によるミス防止
発注書の作成や送信、納品確認などの業務を自動化することで、ヒューマンエラーを防ぎ、業務のスピードが向上する
- 問題発生時の原因追及
発注履歴を詳細に記録・管理することで、問題発生時の原因追跡が容易である
- 通知機能による迅速な対応
納期が近づいた際や在庫が不足している場合に自動で通知を受けることで、タイムリーに対応できる
このように、発注管理システムは、資材を発注する製造工程の進行の助けとなります。
3.3.3 図面管理システム
図面や仕様書などの技術文書を一元管理するためのシステムです。以下に、図面管理システム導入により実現できるポイントをまとめました。
<図面管理システム導入のポイント>
- 最新情報の共有
各種図面のバージョン管理や、設計変更履歴を追跡でき、関係各所で正確な図面情報を共有できる。設計変更発生時には、通知による周知機能も搭載
- アクセス制御
機密情報の漏洩を防ぐためのアクセス制御ができる
- EDIシステム連携
注文書と図面を自動で同封することもでき、購買業務の確認ミス防止にも役立つ
このように、図面管理システムの利用により、購買担当が最新の図面を確認でき、誤った資材の発注を防げます。
これらのシステムの特性を理解し導入することで、発注ミスのリスクが大幅に軽減され、購買業務全体が効率化されるでしょう。
なお、図面管理システムをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考にしてください。
関連記事:図面管理システムとは?主な機能と導入するメリット
4.図面管理システム導入でどう変わる?購買業務3つの改善ポイント
ここでは、3つのシステムのなかでも、とくに図面管理システム導入により購買業務の何が改善されるのか以下のポイントを深掘りします。
- 発注ミスの防止
- 見積もり業務の効率化
- 適正価格での交渉サポート
それぞれ見ていきましょう。
4.1 発注ミスの防止
最新の図面を管理・参照できる仕組みが整い、設計変更が関係部署に共有されるため、古い図面や間違った図面を使用するリスクが軽減されます。また、図面管理システムと発注管理システムを連携すると、発注する図番からワンクリックで最新図面を購買部門で参照する仕組みも搭載可能で、手作業によるミスの発生を防げます。
これにより、情報の伝達ミスを防げ、正確な部品や材料を確実に発注できるでしょう。
なお、図面管理システムを活用した製造ミス防止について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:製造ミスの防止は図面管理がカギ?ヒューマンエラーの原因と対策
4.2 見積もり取得業務を効率化できる
図面管理システム内で図面や仕様書が整理されているため、必要な情報を迅速に取得でき、見積もり依頼がスムーズに行えます。
たとえば、システム上でサプライヤーごとの取引履歴を確認したり、過去の見積もりデータを再利用したりすることで、適切な見積もり依頼が可能です。これにより、作業時間を短縮できます。
また、図面管理システムと連携して自動で最新図面が添付されると、手作業によるミスがより一層減らせるでしょう。見積もり依頼の標準化やテンプレートの活用も進み、一貫した品質で依頼できます。4.3 適正価格で交渉するためのサポートとなる
過去の取引データを参照することで、購買担当者は過去の購入価格を確認でき、適正価格の基準を持てます。
また、図面管理システムには、過去の変更内容やなぜ変更があったのか属性情報に変更理由/改訂理由を記載する場合もあります。そのため、サプライヤーとの交渉時に、価格の根拠や部品変更の理由などを明確に示せ、 透明性の高い交渉が可能です。
さらに、購買管理システムや発注管理システムと連携すると、指定部品の原価情報を得られ、原価を基にした適正価格を算出できます。これにより、サプライヤーとの価格交渉において有利な条件を引き出せるでしょう。

5.図面管理システム導入が製造業務全体にもたらす3つの効果
図面管理システムの導入は、購買業務の効率化だけでなく、企業のさまざまな部門に大きな効果をもたらします。ここでは、以下の3つの具体的なポイントを解説します。
- 設計部門の業務効率化と問合せ削減
- 購買部門の業務効率化と品質向上
- 組織全体の生産性向上
それぞれ見ていきましょう。
5.1 設計部門の業務効率化と問合せ削減
図面の一元管理により、最新の情報が部門間で共有され、設計変更も迅速に反映されます。これにより、購買部門や製造部門など、他部門からの設計部門への問い合わせが減少し、設計者が本来の業務に集中できる環境が整います。
また、過去の設計データや変更履歴が容易に参照できるため、再設計や修正作業の効率も上がるでしょう。
5.2 購買部門の業務効率化と品質向上
図面管理システムにより情報が一元管理されるため、部品やサプライヤーを調査するなどの購買業務に伴う無駄な調査や確認作業が減少し、業務の生産性が向上します。
これにより、納品される資材や部品の品質が安定し、製品全体の品質向上にもつながるでしょう。
さらに、図面管理システムを通じて、購買部門と他部門との連携が強化されます。部門間の情報共有がスムーズに行われることで、購買業務におけるコミュニケーションロスが減少します。これにより、品質に関する問題が早期に発見・対応され、全体的な品質管理が強化されるでしょう。
5.3 組織全体の生産性向上
業務プロセスが標準化され、最適化することで、無駄が削減されます。たとえば、設計部門、購買部門、製造部門が一体となってリアルタイムで情報を共有することで、手戻り作業や確認作業を減らすことが可能です。
また、情報の一元管理により、経営層が最新の状況を把握できるようになります。この情報を基に迅速に意思決定が行えるため、全体の作業フローがスムーズに進行します。
さらに、各システムにはワークフロー機能が搭載されていることが多く、これにより経営層の承認作業が滞るなどのボトルネック解消も期待できるでしょう。最新情報が常に共有されることで、承認プロセスが迅速に進み、製造プロセスの生産性向上が見込めます。
6.図面管理システムで購買業務を効率化しよう
この記事では、製造業における購買・調達業務の役割、購買業務の課題を解説しました。また、課題を解決するシステムとして、購買管理システム、発注管理システム、図面管理システムの概要を紹介しました。
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